Q2:なぜ石炭は今でも発電に使わざるを得ないのか

日本を含む世界で使われている石炭。二酸化炭素を多くだす石炭を何故今でも使っているのでしょうか。

世界での発電電力量の3割は石炭

石炭は、賦存量が多く偏在性が少なく、供給安定性と経済性に優れる資源です。世界には電気にアクセスできない人々が約7.6億人いるとされており、このような発展途上国の経済発展のためには経済性の優れた石炭資源が不可欠です。もちろん、石炭消費量を減らして行く努力は必要です。これは二酸化炭素の排出削減と、エネルギー資源の効率的利用(省エネ)のためです。

現在、世界全体での発電電力量のうち約3割が石炭によるものです。中国やインドでは約6~7割の電力が石炭から発電されています。

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2022年各国の発電量の燃料構成(IEA Statisticsより)

カーボンニュートラルに向けた日本の取り組み

2030年に向けては、安定供給を大前提に、非効率石炭火力のフェードアウトを着実に実施するために、石炭火力発電設備を保有する発電事業者について、最新鋭の超々臨界圧石炭火力発電(USC)並みの発電効率(事業者単位)をベンチマーク目標において求めることとしています。その際、水素・アンモニア等について、発電効率の算定時に混焼分の控除を認めることで、脱炭素化に向けた技術導入の促進にもつなげていきます。

そして、2050年に向けては、第6次エネルギー基本計画や「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(2021年10月閣議決定)、GX推進戦略等を踏まえ、水素・アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進していくこととしています。

日本の発電電力量推移2022.png

日本の発電電力量構成の推移

出典:経済産業省エネルギー白書より