農林・水産分野

農林水産分野における石炭灰の有効利用

農林水産分野における有効利用
(文章改変:石炭灰有効利用技術についてー循環型社会を目指して- 平成15年9月 社団法人土木学会)
図 農林水産分野における有効利用

※(出典:JCI工事報告(大型魚礁ブロックを用いたマウンド型湧昇流魚場整備について))

人工漁礁は、既に実用化段階にあります。また、海底に大規模な人工の山脈構造物を構築し、これによって湧昇流(底層から表層に向かう上向きの流れ)を発生させ、海洋での食料増産しようという取組みが行われており、これには石炭灰を大量に配合した大型コンクリートブロックが用いられています。

【肥料】

フライアッシュ、クリンカアッシュともに特殊肥料の指定を受けていますが、石炭灰を主原料としたけい酸加里肥料の工業化が成功し、普通肥料として認可されています。この肥料は、苛性加里等を加えて燃焼した緩効性加里肥料で、肥効が長続きし、作物の根の張りをよくする等の特長があります。

開発肥料1
開発肥料2

(出典:開発肥料㈱のホームページ)

【人工海底山脈プロジェクト】

概念図
概念図

海底への投入イメージ
海底への投入イメージ
石炭灰を大量に使用したコンクリートブロック
石炭灰を大量に使用したコンクリートブロック

水産庁は「フロンティア魚場整備計画」の一環として、マウンド型湧昇流構造物による水産資源の増産産業に取り組んでいます。
湧昇流による水産資源の増産事業の概念は、まず海底に大規模な人工の山脈構造物を構築し、これによって湧昇流(底層から表層に向かう上向きの流れ)を発生させることで、底層の栄養塩類を太陽光の届く表層に供給し、海の食物連鎖の底辺にある植物プランクトンを増やすことによって、海洋での食料増産しようというものです。現在、長崎県五島西方沖を計画地点として、湧昇流による水産資源の増産事業が進行中です。

(出典:JCI工事報告(大型魚礁ブロックを用いたマウンド型湧昇流魚場整備について)

【浅海域における石炭灰の利活用促進(NEDO)】

海域の生態系を利用した地球温暖化対策

日本は周りを海に囲まれた世界6位の海域面積を持つ海洋国家です。海域面積の地の利を生かし、用途に合わせて、石炭灰を用いたブロック、基質、石材を浅海域に設置し、海洋生物の生育環境改善を行います。これにより、大気中のCO2を生態系に取り込むこと(ブルーカーボン)ができます。

現在、藻場の再生、アサリの漁場改善、洋上風力等に利用可能な洗掘防止などの海域環境保全の増進に活用できる目途が立ちました。

実用化に向けて、CO2吸収・固定量のポテンシャルの評価とともに、合理的な資材製造方法、経済性及び事業性評価を行っています。
(電中研、東京パワーテクノロジー、東洋建設との共同実施)