JCOALの事業

クリーンコールテクノロジー開発の推進

石炭火力発電所から排出されている地球温暖化ガスの削減に向け、石炭火力発電の高効率化やゼロエミッション化の技術確立を促進させる必要があります。世界的にエネルギー需要が堅調に伸びていく中、エネルギーセキュリティーの観点から資源量の約半分を占める褐炭等の利用技術の開発も重要な課題となっています。JCOALは、石炭を取巻く環境を的確に捉え、これらの課題解決に向けた提言、調査研究を行うとともに、中長期的視点に立った環境技術、褐炭等の利用に関する技術開発を行っています。

1. 技術開発委員会とJCOAL/CCTロードマップ

cct.png

JCOALでは、会員ニーズの集約や関連情報の共有化を通じ、中長期を見据えた要素技術の早期確立・実証及び事業化に資する新規課題の設定や新規プロジェクトの創出を目的に、技術開発委員会を設置し活動しています。活動の一環として、今後の技術開発の指針となるJCOAL/CCTロードマップを作成し、エネルギー基本計画の改定等を踏まえ逐次更新を行っています。

cct roadmap.png
JCOAL CCTロードマップ第3版抜粋

2. CO2分離排出削減技術

(1)酸素燃焼プロジェクトの成果と今後の展望

oxyfuel combustion.png
日本エンジニアリング協会「平成27年エンジニアリング奨励特別賞」及び
日本エネルギー学会「平成25年度学会賞(技術部門)」を受賞しました

石炭火力発電所におけるゼロエミッション発電の実現に向け、日本と豪州が官民共同で取り組んだカライド酸素燃焼プロジェクトが2015年3月に実証運転を終了しました。本プロジェクトは、電力系統に連系した実機レベルで酸素燃焼火力発電システムによるCCS一貫システムの信頼性、運用性の実証を目的として、豪州クイーンズランド州にあるカライドA発電所4号機において、電源開発㈱、㈱IHI及び三井物産㈱の日本側企業が参画して実施されました。1960年代に建設された老朽化した旧型の発電所に対して最新技術である酸素燃焼技術の適用可能性を示したことは、酸素燃焼技術の高い適応性を証明したと言えます。

JCOALはサポーティングコラボレーターとして事業を支援し、地下帯水層にCO2を注入する際の貯留層と圧入するCO2の反応性を検討する室内地化学反応試験を実施しました。燃焼に用いる酸素を空気から分離した際に副生される窒素は高純度であり工業プラント等で利用すれば経済性向上が見込まれます。そこで上記3社とJCOALは窒素有効利用を含めた商用化検討として、カナダ・アルバータ州でCO2の回収・利用・貯留に関する事業化可能性調査を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援の下で実施しました。今後も酸素燃焼技術普及のために会員企業と連携し、支援していきます。

(2)CO2分離型化学燃焼石炭利用技術開発

chemical looping.png

ケミカルルーピングを利用した化学燃焼石炭利用技術とは、媒体(酸素キャリア)の化学変化を介して、燃料を空気中の酸素と直接接触させることなく酸化させ、熱や燃料ガスに転換し、CO2を分離する方法です。石炭を燃料とする場合、空気分離の必要がなく、CO2を回収してもプラント効率(送電端効率)が低下しない高効率の石炭火力発電の実現が期待されています。

2012年度~2014年度にNEDO調査プロジェクトを実施し、ケミカルルーピング技術開発の動向技術開発の市場及び開発の課題抽出、開発目標及び対応策等の調査結果を受けて、2015年から6年間で本格的な技術開発事業「CO2分離型化学燃焼石炭利用技術開発」をはじめました。6年間の技術開発は「分離・回収コスト1,000円台/t-CO2の石炭火力発電システムの構築」という最終目標が設けられ、初期の3年間にベンチスケール試験(100kW)を含め、酸素キャリアの選定、プロセス構成条件、経済性と市場の検討、後期の3年間にPDU試験実証等の課題を解決する計画です。

(3)CO2排出量削減を目指した多原料バイオコークスの利用実証

biocokes.png

本事業は、秋田県横手市において、もみ殻、廃菌床、バーク等の地域内の多様な未利用バイオマスを用い、それらを混合して多原料から成るバイオコークスを製造し、ガス化溶融炉で石炭コークス代替燃料として供給し、CO2排出量25%削減の長期実証することを目的としております。また、バイオコークスの製造条件の最適化により、製造コストの大幅削減を目指します。本事業の実施期間は、平成27年9月~平成30年3月です。1年目にあたる平成27年度は、製造設備の製作・据付工事を行い、平成28年1月より本格製造を開始し、多原料バイオコークスを合計50トン製造しました。さらに、その内の40トンを一般廃棄物処理施設のガス化溶融炉に供給し、石炭コークス代替効果及び溶融炉の運転に支障が出ないことについて確認しました。

(4)CCUSに関する技術開発状況調査と国際連携

2014年度よりNEDOからの委託調査として、「CO2分離回収技術の検討」、「革新的CO2分離回収技術に関する調査」を実施しており、国内外のCO2分離回収技術、すなわち、ポストコンバッション、プレコンバッション及び酸素燃焼技術の現状、開発レベルについて調査し、その中から近い将来商業規模で使える有望技術についてより詳細に評価検討しています。

将来、ゼロエミッション石炭火力を達成するには、CCS (Carbo Dioxide Capture and Storage)技術の実用化が必要不可欠となります。CCS技術は、現状ではコストが高くエネルギー消費も大きいことから、世界各国で商業化に向けた各種要素技術の開発及び実用化に向けた実証事業が実施されています。JCOALは、豪州カライドにおける酸素燃焼CCS実証プロジェクトとその実用化に関するカナダ・アルバータ州におけるFS調査及びカナダサスカチワン州におけるアミン吸収液によるポストコンバッション-EOR実用化FS調査を実施しています。また、IEA/GHGやGlobal CCS Institute(GCCSI)と協力することにより、CCSに関する国際会議を共催すると共に、国際的なCCS実用化に向けた事業を促進するためのCCSの知識共有を推進し、CCS実用化に向けた事業展開を強化しています。また、CCUについても海域での藻類(微細藻類も含む)の培養等へのCO2の有効利用技術について事業展開を進めています。

3.褐炭等利用技術開発

(1)ガス化による褐炭等の資源化技術開発(TIGAR)

褐炭等をガス化し化学原料やクリーン燃料を製造する循環流動床方式の低温・常圧のガス化炉(TIGARⓇ)の事業化に向け、パイロットプラント(6t/d)の試験を行い、実証試験に向けたデータ収集、事業化性調査が行なわれてきました。さらに、インドネシアに実証プラント(50t/d)を建設し、平成27年度から実用化に向けた最終の確認運転が行われています。JCOALは実証プロジェクトを技術調査や市場調査等で支援しています。

(2)改質技術(インドネシアにおける褐炭等の利用事業の推進)

upgrading of lignite.png
褐炭改質工程

宇部興産株式会社・月島機械株式会社・JCOALは、褐炭から亜瀝青炭と同等のハンドリング性を有する高品質ブリケットを製造する改質技術を用いた事業の普及を推進しています。この技術は、破砕・乾燥・微粉砕・成型・加水工程を経て、褐炭をブリケット化する技術で、粉化・自然発熱性・再吸収性が抑制されるなどの特徴を有しています。特に、低灰分・低硫黄分のインドネシア褐炭を用いることで、石炭火力発電所での使用において環境負荷の低減も期待されます。今後、競争力の高い改質事業を実現するため、生産コストや輸送インフラコストの低廉化を図り、炭鉱から最終需要家までのバリューチェーンにおけるリスクの最小化と利益の最大化を目指す事業モデルを策定します。

(3)石炭の自然発熱性評価技術の開発

shizenhatsunetsu.png
石炭パイルからの発煙

褐炭等は鉱山、船舶輸送、発電所・製鉄所等で、自然発熱、昇温、発火を抑える対策を講じる必要があります。JCOALでは、平成26年来、勉強会あるいは会員有志によるワーキンググループでの討論等を行い、自然発熱対策に関する調査研究を行ってきました。その結果をもとに、自然発熱に関するNEDO事業を平成27年から3年間行っています。本事業は、石炭の自然発熱性に関する評価装置の開発及びシミュレーション技術の開発が主な実施事項となっています。

4.石炭灰の有効利用

(1)石炭灰有効利用全国実態調査

電気事業および一般産業(出力1,000kW以上の発電設備)の石炭焚きボイラを対象に日本フライアッシュ協会と共同でアンケート調査等により「石炭灰全国実態調査」を実施しています。石炭灰の発生量、有効利用量とその利用方法についての調査結果をまとめ、経年変化に注視しています。

(2)ガイドライン作成と講習会開催

石炭灰と少量のセメントと水等を混合し、石炭灰混合材料として利用する際のガイドラインとして「港湾工事における石炭灰混合材料の有効利用ガイドライン」、「石炭灰混合材料有効利用ガイドライン(震災復興資材編)」と「同(高規格道路盛土編)」を国立環境研究所、港湾空港技術研究所及び電力中央研究所等の協力を得て作成、発刊し、講習会を開催しました。これにより、港湾工事、東日本大震災復興及び高規格道路盛土建設用の資材として、石炭灰の利用が促進されることを目指しています。

(3)セメントを使用しないフライアッシュコンクリートの製造技術の開発

manhole.png
マンホール管の製作

電力中央研究所と共同で、石炭灰にアルカリを添加し、直接固化させる技術の実用化研究を行っています。JIS灰として適さない石炭灰の有効な利用技術を開発することを目的としています。

(4)石炭ガス化溶融スラグの利用

石炭ガス化溶融スラグについて、東京電力㈱・中国電力㈱・電源開発㈱・常磐共同火力㈱・大崎クールジェン㈱の協力のもと、利用に関する規格化を行い、工業製品として認証されることにより、スラグの有価利用が確立し、IGCC発電システムの普及が促進することを目指しています。

flyash.png

(5)魚礁等の海洋構造物への活用とCO2削減への貢献

石炭灰混合材料を用いた良質な魚礁を作ることを検討しています。海洋資源の保全に繋がるだけでなく、魚礁に藻類が着床する藻場を育成するとCO2の削減にも期待できます。

moba-ikusei.png


ページの先頭へ