JCOALの事業

クリーンコールテクノロジー開発の推進

石炭火力発電所から排出されている地球温暖化ガスの削減に向け、石炭火力発電の高効率化やゼロエミッション化の技術確立を促進させる必要があります。世界的にエネルギー需要が堅調に伸びていく中、エネルギーセキュリティーの観点から資源量の約半分を占める褐炭等の利用技術の開発も重要な課題となっています。JCOALは、石炭を取巻く環境を的確に捉え、これらの課題解決に向けた提言、調査研究を行うとともに、中長期的視点に立った環境技術、褐炭等の利用に関する技術開発を行っています。

1. 技術開発委員会とJCOAL/CCTロードマップ

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JCOALでは、会員ニーズの集約や関連情報の共有化を通じ、中長期を見据えた要素技術の早期確立・実証及び事業化に資する新規課題の設定や新規プロジェクトの創出を目的に、技術開発委員会を設置し活動しています。活動の一環として、今後の技術開発の指針となるJCOAL/CCTロードマップを作成し、エネルギー基本計画の改定等を踏まえ逐次更新を行っています。

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JCOAL CCTロードマップ第3版抜粋

2. CO2分離回収・利用・貯留及び排出削減技術

(1)米国ワイオミング州における固体アミン吸収材による実証試験

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ワイオミング州Dry Fork発電所

平成30年度から環境省の委託により、米国ワイオミング州ジレット市のDry Fork石炭火力発電所に設けられたIntegrated Test Center(ITC)において、固体アミン吸収材によるCO2分離回収設備を建設し、同発電所の実排ガスを使った連続試験の実施を計画します。

本プロジェクトは、平成28年7月25日にワイオミング州とJCOALがMOUを締結したことに基づいて実施されるもので、固体アミン吸収材によるCO2分離回収技術は、川崎重工業株式会社が開発を進めているKCC(Kawasaki CO2 Capture)プロセスで、平成30年度にITCへの設備設置に関する事前検討を実施した後、10t/d規模のテストプラントを建設し、実排ガスを使った連続試験を実施することにより、その性能、環境特性及び経済性を検討する計画です。

(2)酸素燃焼技術開発(酸素燃焼国際共同実証事業)

ゼロエミッション発電となり得る酸素燃焼石炭火力発電について、会員企業と連携し、酸素燃焼技術の普及及び商用機実用化に努めています。 JCOALは、今まで、日本と豪州が官民共同で実施したカライド酸素燃焼プロジェクトにおいて、サポーティングコラボレーターとして事業支援し、酸素燃焼から回収したCO2が地下貯留層に及ぼす悪影響はないことを明らかにしてきました。また、カナダ・アルバータ州における酸素燃焼石炭火力のFS調査においては、酸素製造設備から回収されるN2の市場調査などを実施してきました。

(3)CO2分離型化学燃焼石炭利用技術開発

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高効率の石炭利用CO2回収技術としてケミカルルーピング石炭利用技術が近年注目され、欧米各国は政府支援の下で積極的に技術開発を行っています。日本では平成27年度から3年間の開発プロジェクトで、100kWケミカルルーピング燃焼評価装置を用いて、イルメナイト酸素キャリアの長時間循環反応性能試験、及びメタン燃料と石炭燃料のケミカルルーピング燃焼試験を実施しました。今後も社会実装に向けて本技術開発を支援していきます。

(4)CO2排出量削減を目指した多原料バイオコークスの利用実証

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本事業は、秋田県横手市において、もみ殻、廃菌床、バーク等の地域内の多様な未利用バイオマスを用い、それらを混合して多原料から成るバイオコークスを製造し、ガス化溶融炉で石炭コークス代替燃料として供給し、CO2排出量25%削減の長期実証することを目的としております。また、バイオコークスの製造条件の最適化により、製造コストの大幅削減を目指します。本事業の実施期間は、平成27年9月~平成30年3月です。1年目にあたる平成27年度は、製造設備の製作・据付工事を行い、平成28年1月より本格製造を開始し、多原料バイオコークスを合計50トン製造しました。さらに、その内の40トンを一般廃棄物処理施設のガス化溶融炉に供給し、石炭コークス代替効果及び溶融炉の運転に支障が出ないことについて確認しました。

(5)バイオマス・廃棄物資源のスーパークリーンバイオ燃料への触媒転換技術の開発

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プロジェクト全体行程

化石資源代替と地球温暖化対策の必要性が高まる中で、自動車などの「輸送用バイオ燃料」の開発が重要な課題となってきています。JICAとJSTが共同で推進する地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムでは、タイに豊富に存在するバイオマス資源をガス化して各種輸送用バイオ燃料へ触媒転換する技術開発に、富山大学とタイ国・チュラロンコン大学と連携し、取り組んでいます。JCOALはバイオマスガス化技術の開発を担当しています。 本プロジェクトは平成29年度から開始され、平成30年度にチュラロンコン大学サラブリ・キャンパスにガス化製造及び合成のパイロット・プラントを設置します。そこで、日本及びタイ両国内でそれぞれ研究活動を展開し、化石資源代替としてバイオマスの液体燃料転換技術の社会実装化に向けた提言を行い、そしてバイオマスの高度利用による地球温暖化対策に貢献します。

(6)CCUSに関する技術開発状況調査と国際連携

将来、ゼロエミッション石炭火力を達成するにはCCS技術の実用化が必要不可欠となります。CCS技術は、現状ではコストが高くエネルギー消費も大きいことから、世界各国で商業化に向けた各種要素技術の開発及び実用化に向けた実証事業が実施されています。JCOALは、それら諸外国の技術や政策の動向を調査し、国内外におけるCCSの実用化に向けた取り組み、我が国の技術の海外展開を図っています。また、IEA/GHGやGlobal CCS Institute(GCCSI)と協力することにより、CCSに関する国際会議を共催すると共に、国際的なCCS実用化に向けた事業展開を強化しています。さらに、CCUについても海域での藻類(微細藻類も含む)の培養等へのCO2の有効利用技術について事業展開を進めています。

3.褐炭等利用技術開発

石炭は世界中に広く賦存していますが、日本が主に消費している石炭は品位の高い瀝青炭です。しかし世界の石炭埋蔵量の半分以上は亜瀝青炭・褐炭といった発熱量の低い石炭です。褐炭等は水分も多く輸送に不向きであるため、現在はほとんどが山元火力発電所で消費されていますが、将来に亘り安定的に石炭を使っていくためには、褐炭等の活用方法を検討することが重要です。

(1)コールバンクの拡充

JCOALは石炭研究/事業化の支援として石炭データベースであるコールバンクを国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で運営しています。従来のデータベースでは炭鉱名(炭種名)は非公開でしたが、本事業では炭鉱位置も含めて公開しています。また、登録炭種に無煙炭や瀝青炭だけでなく褐炭を中心に33炭種を追加し、成分毎のソート機能の追加等により利便性を向上させた新データベースを新構築して一般公開いたしました。有償による石炭のサンプル販売も行っています。

(2)石炭の自然発熱性評価技術の開発

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石炭パイルからの発煙

褐炭等は鉱山、船舶輸送、発電所・製鉄所等で、自然発熱、昇温、発火を抑える対策を講じる必要があります。JCOALでは、平成26年来、勉強会あるいは会員有志によるワーキンググループでの討論等を行い、自然発熱対策に関する調査研究を行ってきました。その結果をもとに、自然発熱に関するNEDO事業を平成27年から3年間行っています。本事業は、石炭の自然発熱性に関する評価装置の開発及びシミュレーション技術の開発が主な実施事項となっています。

(3)ガス化による褐炭等の資源化技術開発(TIGAR)

褐炭等をガス化し化学原料やクリーン燃料を製造する循環流動床方式の低温・常圧のガス化炉(TIGARⓇ)の事業化に向け、パイロットプラント(6t/d)の試験を行い、実証試験に向けたデータ収集、事業化性調査が行なわれてきました。さらに、インドネシアに実証プラント(50t/d)を建設し、平成27年度から実用化に向けた最終の確認運転が行われています。JCOALは実証プロジェクトを技術調査や市場調査等で支援しています。

(4)改質技術(インドネシアにおける褐炭等の利用事業の推進)

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褐炭改質工程

宇部興産株式会社・月島機械株式会社・JCOALは、褐炭から亜瀝青炭と同等のハンドリング性を有する高品質ブリケットを製造する改質技術を用いた事業の普及を推進しています。この技術は、破砕・乾燥・微粉砕・成型・加水工程を経て、褐炭をブリケット化する技術で、粉化・自然発熱性・再吸収性が抑制されるなどの特徴を有しています。特に、低灰分・低硫黄分のインドネシア褐炭を用いることで、石炭火力発電所での使用において環境負荷の低減も期待されます。今後、競争力の高い改質事業を実現するため、生産コストや輸送インフラコストの低廉化を図り、炭鉱から最終需要家までのバリューチェーンにおけるリスクの最小化と利益の最大化を目指す事業モデルを策定します。

4.石炭灰の有効利用

(1)石炭灰有効利用全国実態調査

電気事業および一般産業(出力1,000kW以上の発電設備)の石炭焚きボイラを対象に日本フライアッシュ協会と共同でアンケート調査等により「石炭灰全国実態調査」を実施しています。石炭灰の発生量、有効利用量とその利用方法についての調査結果をまとめ、経年変化に注視しています。

(2)セメント不使用フライアッシュコンクリートの製造技術開発及び実証

セメントを用いず、フライアッシュ及び高炉スラグ微粉末等の産業副産物、アルカリ溶液及び骨材でコンクリートを製造する技術開発を一般財団法人電力中央研究所及び中川ヒューム管工業株式会社と共同で実施しています。本技術製のコンクリートは、高い耐酸性を有するため、硫酸劣化等が問題視されている下水道や温泉地の資材への適用が期待されます。また、セメントを使用しないため、セメントコンクリートと比べて製造時のCO2排出量が少ないことが特徴です。今後は、製造コストの削減や生コンクリートへの適用といった製造技術の高度化や本技術製資材の実環境における耐久性の確認を計画しています。

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セメントを使用しないフライアッシュコンクリートで製造したマンホール、U字溝及び暗渠

(3)石炭ガス化溶融スラグの利用

石炭ガス化溶融スラグ(以下IGCCスラグ)の有効利用推進を目的に、NEDO事業(平成28~30年度)により、JIS化に必要なデータの取得及び利用拡大方策の検討を行っています。IGCCスラグは、磨砕によりコンクリート用細骨材に適した粒度に調整でき、天然砂と同等の物性を示すとともに、天然砂より吸水率が低く、球形に近いことから、コンクリートの流動性が向上し、必要な水分量が削減できる優れた細骨材であることが明らかになりました。 現在、540MWの石炭ガス化複合発電プラント2基の建設が福島県で進められており、2020年と2021年に運開する予定です。今後、高効率でCO2削減が期待できる石炭ガス化複合発電システムの普及促進を支援するとともに、天然資材の利用による環境負荷を低減するために、IGCCスラグのJIS規格化に取組み、工業製品としての利用拡大を目指しています。


(4)魚礁等の海洋構造物への活用とCO2削減への貢献

石炭灰混合材料を用いた人工藻場(魚礁)の実証プロジェクトを平成29年度に秋田県岩館漁港にて開始しました。平成30年6月に第1回目のモニタリング調査を行い、耐久性評価、性能評価等を行い、海藻類の着床、貝類の着床も確認することが出来ました。今後も継続してモニタリング調査を行うことで、海洋資源の保全に繋げ、藻類が着床する藻場を育成することによるCO2の削減も目指します。

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(5)福島エコクリートの取組みについて

JCOALは、福島県南相馬市においてフライアッシュを用いた土木資材の製造・販売事業(平成28年3月に日本国土開発株式会社及び新和商事株式会社と共同出資する福島エコクリート株式会社を設立)を支援しています。 「福島エコクリート事業」は、福島県イノベーションコースト構想の一環として、浜通りの雇用創出、復興事業への土木資材の供給、及び福島県内の石炭灰のリサイクルの 3 点を目的とし、フライアッシュを主原料に路盤材代替品となるORクリート(地元小高の復興・リサイクルの意味を込めた商品名Odaka Revive (Recycle)クリート)の製造・販売を実施するものです。ORクリート生産能力は約90,000t/年であり、平成30年4月に商用運転を開始しました。

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福島エコクリート全景


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