JCOALについて

会長メッセージ

会長

蒸気機関とコークス製鉄法の普及が産業生産力を飛躍的に高めた産業革命以来、20世紀半ばまで人類の経済発展を支えてきた中核的なエネルギーは石炭でした。20世紀に入りアメリカでの新たな石油掘削技術の登場に加えて中東・アフリカ地域で相次いで大油田が発見されると、その使い易さと価格の低下によって、1950年代にはエネルギーの主役は石炭から石油へと移行しました。いわゆる流体革命です。しかしながら1970年代に中東における地政学的なリスクが発現した二度のオイルショックを契機に、OECD諸国は供給安定性と経済性の両面で信頼性の高い燃料資源として石炭を改めて見直し、中でもとりわけエネルギー自給率の低い我が国は、原子力の導入拡大、LNG利用の拡大と共に、排ガスのクリーン化を進めながら石炭の利用拡大によるエネルギーミックスの多様化を進めてきました。

そして今、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降、経済的なベース供給力としての原子力利用に安全強化対策の必要から抑制がかかっている状況下で、安価で安定した電力供給を支える石炭火力の役割は益々重要なものとなっています。新たに策定された政府の長期エネルギー需給見通しにおいても、2030年の電源ミックスとして発電量の1/4程度を石炭が担うことが期待されています。

石炭利用において残る最大の課題は、地球温暖化対策としてのCO2排出抑制です。硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんといった在来型の環境汚染物質については、排煙処理技術のたゆまぬ革新によって、今やほぼ天然ガス火力並みにまでクリーン化することが可能になっています。他の化石燃料に比べて相対的にCO2の発生量が多いという石炭の持つ弱点への対策を更にスピードアップしなければなりません。このため、石炭火力プラントにおけるA-USC、IGCC等の高効率化技術を中心にクリーンコールテクノロジー(CCT)の開発導入を推進すると共に、発生するCO2の回収貯留(CCS)、回収利用(CCU)技術の実用化への取組みを強化することが必須であり、その達成に向けた継続的な努力が求められています。

石炭は、資源小国である我が国にとってエネルギーミックス上重要なエネルギー源であるのみならず、自国内に十分な石油・ガス資源のない国々にとってはナショナルセキュリティ上からも決定的に重要なエネルギー源であり、今後も中国・インドをはじめ、非OECD諸国においてその需要は増大していく見込みです。米国等において非在来型のシェール・オイル、シェール・ガスの生産拡大が進んでいくとしても、既に70億人を超えた地球人類が2040年には90億人に達すると見込まれる中で、発展途上国、新興国の人々が希求する経済発展をエネルギー供給の面から支えていくためには、世界全体として石炭のクリーンで高効率な利用の継続なくしては不可能です。そのためにも、石炭利用技術の先進国である我が国は、まさに世界に貢献すべく、CCTの開発・普及を一段と加速するとともに、世界の石炭可採埋蔵量の過半を占める褐炭等未利用低品位炭のクリーン利用を可能にする革新的技術の開発にチャレンジしていくことが大切です。

一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)は、我が国におけるエネルギーの安定供給と産業経済の健全な発展、そして、我が国の優れたCCT関連技術の海外展開による地球温暖化防止への貢献等を図るべく、石炭利用産業の上流から下流に至る全ての分野において、技術開発と事業化の支援、技術の普及・移転、人材の育成等を行うことにより、石炭の持つ資源的・経済的優位性を温室効果ガス削減という地球課題と両立させる高度利用を目指した活動を推進して参りたいと存じます。

一般財団法人 石炭エネルギーセンター
会長 北村 雅良


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