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2019年8月

クリーン・コール・デーにむけたメッセージ:「なぜ石炭が地球を救うのか?」我々は、石炭でSDGsに貢献します。

 かつて石炭は「黒いダイヤ」と呼ばれ、戦後の日本の奇跡的な経済復興の陰の立役者であった。今でも石炭はコークスとして製鉄、石炭灰はセメント製造に、あるいは製紙業では工場を稼動させるエネルギー源として、さらには発電の分野で発電電力量の32%を占めるなど、我々の日常生活を支える重要なエネルギー資源である。

 また、石炭は多くの国で最もアクセスしやすい安定で安価なエネルギー資源であり、電気の恩恵を受けていない人々へのアクセス確保にも貢献している。特にアジア各国の経済成長を支える原動力となっており、IEA(国際エネルギー機関)の予測でもアジアを中心に石炭の消費量は今後も増加するとの見通しとなっている。

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日本国内発電電力量の構成比

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 IEA石炭長期需要予測(新政策シナリオ)

 一方で、他の化石エネルギーと比較して燃焼時にCO2発生量が比較的多い石炭は、地球温暖化の原因になるとして、石炭への依存度の低いヨーロッパを中心に脱石炭化の機運が高まっている。2015 年のCOP21(パリ)での温室効果ガス削減2℃目標の設定以降、特に石炭及び石炭火力に対する逆風が強くなってきている。

 このような状況下、環境に配慮した石炭火力発電技術(クリーン・コール・テクノロジー(CCT))は、日本を筆頭に関係各国で技術開発が行われている。

CleanCoalTechnology
クリーン・コール・テクノロジーの体系

 CCTは大きく分けて①NOx、SOx、ばいじん抑制などの環境対策技術、②石炭発電の高効率化によるCO2排出量の削減、排出されたCO2の分離・回収・貯留や、これらのCO2を再利用する地球温暖化対策技術に分けられる。この内、環境対策技術は既に確立しており、石炭を利用せざるを得ない国に利用してもらう事が課題である。今後は、地球温暖化対策技術の開発に最大限の努力が払われる必要が有り、日本がその中心的な役割を担うべきである。

  発電の高効率化は、従来のように石炭を細かく砕いて燃やすのではなく、燃料ガスに転換してガスタービンと蒸気タービンを回して発電する石炭ガス化複合発電(IGCC)や、更に燃料電池も組み合わせた石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)といった次世代高効率石炭火力発電技術の開発が進捗している。IGCCは、熱効率が向上することで石炭使用量を節約でき、CO2排出量を石炭火力発電よりも約13%抑えられる。

IGCC
高効率発電技術の開発

 CO2の分離・回収技術については、一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)を中心に、日米共同プロジェクトとしてワイオミング州のドライフォーク石炭火力発電所に新設される研究施設で、川崎重工業の分離回収技術を実証する事業を2018年度から行っている。CO2吸収材として固体アミンを使用し、分離回収時のエネルギーロスを軽減、省エネ型のCO2分離・回収技術の確立を目指している。

 さらにJCOALは、同研究施設内において、米国コロンビア大学の研究開発による、石炭火力等の排ガス中のCO2とスラグ、石炭灰、その他廃棄物等を直接反応させて炭酸カルシウム(CaCO3) を主体とした鉱物を製造するGreenOreと呼ばれる技術の実用化に向けた共同事業実施について覚書を交わしている。

DryFork 
ドライフォーク石炭火力発電所
(米、ワイオミング州) 

 その他には、石炭を酸素でなく酸化鉄で燃焼させて排ガスからCO2を分離せずに取り出す「ケミカルルーピング」や、深さ1000m以上の地中や海底下などにCO2を隔離して閉じ込めるCCS、マングローブ・海藻などにCO2を吸収固定化させる「ブルーカーボン」、石炭から水素を製造する「CO2フリー水素」などの技術開発が進んでいる。 

石炭灰混合による人口藻場礁の実証プロジェクト
石炭灰の人口藻場等海洋構造物への活用と
CO2削減(ブルーカーボン)への貢献
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沈設直後

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10か月後

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19か月後

 CO2を再利用する計画も始まっている。2019年1月のダボス会議で安倍総理が発言されたように、CO2の資源としての利用が見直され、「カーボンリサイクル」という新しい取組がエネルギー政策の中に位置づけられた。具体的には、経済産業省は2月にカーボンリサイクル室を立ち上げ、6月にカーボンリサイクル技術ロードマップを策定し、同月に軽井沢で開催されたG20エネルギー環境大臣会合及びG20大阪サミットにおける共同声明文に盛り込まれた。CO2を炭素資源(カーボン)として捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用(リサイクル)、製品化しようという計画だ。回収し、封じ込めるのではなく、資源として積極的に活用していこうという逆転の発想、プラス思考の試み。2030年までにポリカーボネートなどの化学品やバイオジェット燃料、コンクリート製品などの分野で製品化を目指し、最終的にはより需要が多い汎用品に拡大していく予定だ。

CleanCoalDay2019
2019年度クリーン・コール・デー広報ポスター

 このように石炭関連業界は最新テクノロジーを駆使してたゆまぬ努力を続けている。9月5日の「クリーン・コール・デー」は、こうした石炭を取り巻く現状、これから先の石炭活用の未来図などを広く啓発し、石炭利用への理解を深める絶好の機会と位置付ける。今年度は「持続可能な社会へ。石炭は挑む~我々は石炭でSDGsに貢献します」というスローガンのもと、積極的な広報活動を展開している。

  この「クリーン・コール・デー」に合わせて、9月9日(月)より2日間、ANAインターコンチネンタルホテル東京(港区赤坂)で、「第28回クリーン・コール・デー国際会議(2019年度)」が開催される。(JCOAL主催、METI、NEDO、JOGMEC共催)石炭関連業界として、国際機関や関係各国政府と連携し、石炭を効率的に使う技術、クリーンなエネルギーとして利用するための技術の展開などCO2削減に向けた地球規模の取組を進め、石炭でSDGsに貢献していることを世界に向けて情報発信する。

 さらに子ども達を対象にした「夏休み子ども見学会」、「夏休み子ども石炭実験教室」、「石炭博物館・記念館の無料開放」といったイベントも実施している。

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第27回クリーン・コール・デー国際会議
(2018年9月)

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夏休み子ども石炭実験教室(2019年8月)

 エネルギー自給率が約8%といわれる資源小国である我が国にとってはバランスの取れたエネルギーミックスが重要であり、石炭は供給安定性と経済性の両面で信頼性の高い重要なエネルギー源である。また、石炭はアジアを中心とする国々においてもその社会経済的な発展の基礎となるエネルギー源であり、「すべての人々に手頃で信頼でき、持続的かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」とするSDGsの目標7に合致する。

 また、これまで述べたクリーン・コール・テクノジーの開発とその適用に関しては、世界中で稼働している老朽化したあるいは非効率な石炭火力発電所を最新鋭の石炭火力発電所に置き換える、あるいはそれらの発電所に最新の技術を適用すること、更には、CCUSに果敢に挑戦することにより、地球全体として大幅なCO2削減が期待できる。このことは、「気候変動とその影響に立ち向かうために緊急対策をとる」とするSDGsの目標13に合致する。

 これらが、「なぜ石炭が地球を救うのか?」への解となる。

子供向けページ「石炭のひみつ」公開

JCOALではこの度、子供向けページ
石炭てなんだ? ニャンコール教授と学ぶ「石炭のひみつ」を公開致しました。

ご参照頂けると幸いでございます。

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