Q1:石炭とは何か

石炭はどうやってできて、どこにあり、何に使われているのでしょうか。

石炭は植物起源

石炭は、かつて黒いダイヤモンドとも言われていた、植物を起源とする化石エネルギー資源です。大昔(数千万年前~数億年前)に植物が湖や沼の底に積み重なったものが、地中の熱や圧力の影響を受け、炭素が濃集して石炭が生成されていきます。石炭は1)炭素の濃集度合、2)用途により分類されています。

1)炭素の濃集度合

褐炭

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若い石炭であり、植物の形が残っているものもあります。水分が多く、発熱量はあまり高くありません。

瀝青炭

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良質の燃料や原料として使われます。一般に石炭と呼ばれているのはこの瀝青炭です。

無煙炭

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最も炭素分が多く、発熱量も高い石炭です。表面はキラキラと輝いています。煙をほとんど出さずに燃えます。

2)用途による分類

一般炭

いわゆる燃料として用いられる石炭で、火力発電、一般産業のボイラ燃料、セメント製造用などに利用されています。

原料炭

鉄鋼を作る際に用いられるコークスの原料になる石炭です。

石炭は安定的に供給可能な資源

石炭はアメリカ、ロシア、中国、インド、オーストラリア、ヨーロッパ(ドイツ、ウクライナ、カザフスタン)など、世界各地に広く分布しています。石油は、60%以上が中東に集中していますが、石炭の分布は地域的な偏りが少なく、政治的に安定している国でも生産量が多いので、入手しやすいエネルギー資源です。石炭の確認可採埋蔵量はおよそ8,900億トンで、現在の生産量のペースでも100年以上採掘することが可能です。

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世界の確認可採埋蔵量(2013年)

石炭は発電、製鉄、セメント、製紙など様々な産業で使われています。

石炭火力発電所の仕組み

石炭火力発電所においては、石炭を燃料として使用します。石炭を燃焼し、水を蒸発させて蒸気を作ります。この蒸気を用いて蒸気タービンを回し、タービンにつながっている発電機で発電します。

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製鉄・セメントでの利用

鉄を作るときの主な原料は鉄鉱石、コークス、石灰石で、鉄鉱石に含まれている約60%の鉄分を取り出すためには酸化鉄から酸素を除去(還元)する必要があります。この時、還元する役割を持つのがコークスです。このコークスの原料が石炭であり、石炭をコークス炉で蒸し焼きにすることで作ることができます。
セメントの主な原料は石灰石や粘土ですが、セメントを作るためには、まずこれらの原料を加熱する焼成という作業により、中間製品であるクリンカを作ります。石炭は焼成のための熱を得るための燃料として使われています。