石炭灰QA集

コンクリート分野

コンクリートとは?

  • セメントコンクリートは、セメントと水と砂・砂利(骨材)を練り混ぜ凝固させ製造する硬化物のことで、セメントと水の反応によって様々な物質が生成し、それら生成物が糊のような働きをして各材料を繋ぎ合わせることで固まるという仕組みとなっています。

フライアッシュコンクリートとは?

  • フライアッシュセメント(セメント混合材)やコンクリート混和材としてフライアッシュを混ぜて製造したコンクリート(フライアッシュコンクリート)は、セメントだけを使用したコンクリートに比べ多くの優れる点を有していることが分かっています。
  • これは、フライアッシュがポゾラン反応と呼ばれる反応を生じ、ポゾラン反応の進行によってコンクリート組織が緻密化する等の変化が生じるためです。

セメント混合材

セメント製造工程
図 セメント製造工程
(出典:セメント協会のホームページ)

セメント混合材は、セメントクリンカ製造後、セメント工場においてあらかじめセメントにフライアッシュを混ぜて製造したフライアッシュ混合セメントの名称です。

焼成後のセメントクリンカに混合しフライアッシュセメントと製造する場合、フライアッシュの品質変動がコンクリートに影響を与えるため、仕様が管理されたJIS灰が使用されています。

コンクリート混和材

コンクリート製造工程
図 コンクリート製造工程
(出典:セメント協会のホームページ)

混和材と混和剤

混和材は材料、混和剤は薬品と区分されています。

混和材は、産業廃棄物の有効利用として使用され、粉末度の調整などにより、生コン等の品質を改善することができます。

コンクリート混和材として使用されているフライアッシュは、一般的にJIS規格品となっており、粒子が球形であることから、ベアリング効果により生コンの流動性を高め、単位水量の削減に寄与できます。

フライアッシュを用いたコンクリートの硬化後の特徴としては、十分な湿潤養生を行った場合、セメントの水和によって生じた水酸化カルシウムと反応して、不溶性の化合物を作り(ポゾラン反応)、それによって長期材齢の強度、水密性、化学的な作用に対する抵抗性が高まります。従って、フライアッシュは、マスコンクリートや水理構造物など、乾燥しにくいコンクリート構造物用への使用に適しています。

(文書改変:図解入門 よくわかるコンクリートの基本と仕組み
岩瀬 泰己 岩瀬文夫著 秀和システム (2-8))

有効利用例

<フライアッシュコンクリートの特長と有効利用先>

フライアッシュコンクリートの優れる点すなわち特長と、その特長を生かした有効利用例について紹介します。

  • ①ワーカビリティの向上効果→高流動コンクリート
  • ②長期強度の向上→高強度コンクリート
  • ③水和熱の低減(温度ひび割れリスクの低減)→マスコンクリート
  • ④耐塩害性等耐久性の向上→塩害等への対策
  • ⑤骨材アルカリシリカ反応(ASR)の抑制→ASR対策
  • ⑥リバウンドの抑制→吹付けコンクリート

フライアッシュコンクリートの特長と特長を活用した有効利用例

【特長①:ワーカビリティ(作業性)の向上】
  • フライアッシュは微細な球状であることから、フライアッシュをコンクリートに混和するとフライアッシュがボールベアリングのように働き、コンクリートの流動性が著しく向上します。このため、型枠への充填の際に扱いやすくなったり、型枠の隅々までコンクリートを流し込み易くなるというメリットがあります。また、仕上がり面が滑らかで美しくなります。
ワーカビリティ向上効果を活かした有効利用例:高流動コンクリート
  • 高流動コンクリートとは、 型枠に打設する際に材料分離しにくく、且つ高い流動性を有するコンクリートのことです。
  • 振動や締固めを行わず型枠へのコンクリート充填が可能になるため、工事現場における省力化が図れます。また、作業が難しい狭所へも綺麗にコンクリートを充填することが可能となります。
  • フライアッシュを使用した高流動コンクリートは、流動性は勿論のこと、フライアッシュ使用による水和熱低減効果によって、発熱が低く抑えられ、発熱に起因するひび割れを抑制することが出来るという特長を有しています。
  • フライアッシュを用いた高流動コンクリートでの大臣認定取得の実績があります。
  • 主な適用先:狭所への充填コンクリート(鋼管充填、プレキャスト部材の接合部、鉄筋密度が高い箇所など)
コンクリート形状
スランプフロー試験直後

高流動コンクリートのスランプフロー試験

表 高流動フライアッシュコンクリート(自己充填性ランク1)の配合例
水結合材比
(%)
水粉体容積比
(%)
空気量
(%)
単位粗骨材絶対容積
(m3/m3
30.8 84.0 6.2 0.307
単位量(kg/m3
セメント フライアッシュ 細骨材 粗骨材 高性能AE減水剤 AE剤
(g/m3
163 307 222 718 827 8.38
(1.58%)
264.5

(出典:コンクリートライブラリー136
高流動コンクリートの配合設計・施工指針(2012年版)公益社団法人土木学会)

【特長②:長期強度の向上】
  • フライアッシュをコンクリートに混和すると、フライアッシュのポゾラン反応の進行によって次第に緻密なコンクリートになっていくため、セメントのみを使用したコンクリートに比べ長期強度と耐久性が高いコンクリートになります。
長期強度向上効果を活かした有効利用例:高強度コンクリート
  • 高強度コンクリートとは、土木分野では建築分野では設計基準強度50~100N/mm2、建築分野では36N/mm2を超えるコンクリートのことです。
  • 高強度コンクリートでは、通常のコンクリートに比べ緻密な組織が必要となることから、フライアッシュコンクリートが適用されることがあります。
  • また、高強度フライアッシュコンクリートは、低水セメント比(セメントに対して水が少ないコンクリート配合)であっても、フライアッシュの流動性向上効果と水和熱低減効果によって、適切な流動性の確保と、温度ひび割れリスクが低減できるという特長を有しています。
  • フライアッシュを用いた高強度コンクリートでの大臣認定取得実績があります。また、プレキャスト部材への適用実績も増えつつあります。
【特長③:水和熱の低減(温度ひび割れ発生リスクの低減)】
  • フライアッシュをコンクリートに混和すると、コンクリートの水和熱(セメントと水の水和反応に伴い発生する熱)が低減できます。フライアッシュの分量が増加するほど、水和熱の低減効果は大きくなります。
水和熱低減効果を活かした有効利用例:マスコンクリート
  • マスコンクリートとは、ダムや橋桁などの大型コンクリート構造物や断面寸法の大きなコンクリートのことです。
  • マスコンクリートは寸法(厚さ)が大きいことから、コンクリートの水和熱が逃げにくく内部温度が上昇しやすくなり、コンクリート内に温度変化が生じます。この温度変化に伴うコンクリートの膨張・収縮変形によって、ひび割れが生じやすくなります。水和熱に起因するひび割れは、温度ひび割れと呼ばれます。
  • フライアッシュの使用によってコンクリートの水和熱を低減できることから、マスコンクリートとしてこれまでに多くの実績を有しています。
  • 宮ヶ瀬ダム等多くのダム建設では、フライアッシュをコンクリート混和材に用いて、熱膨張を抑えるとともにRCD工法等を採用し、工費の節減および工期の短縮を図っています。

宮ヶ瀬ダムの施工状況
写真 宮ヶ瀬ダムの施工状況
(出典:日本フライアッシュ協会のホームページ)

表 フライアッシュを使用したマスコンクリートの配合例(発電所海水取水路)
設計基準強度
(N/mm2
スランプ
(cm)
空気量
(%)
水結合材比
(%)
24 8.0 4.0 45
単位量(kg/m3
セメント フライアッシュ 細骨材 粗骨材 減水剤
(g/m3
AE剤
(g/m3
156 222 94 780 1056 3160 237

(出典:コンクリートライブラリー132
循環型社会に適合したフライアッシュコンクリートの最新利用技術公益社団法人土木学会)

【特長④:耐塩害性等耐久性の向上】
  • コンクリートでは、海水や海水飛沫、凍結防止剤(塩化ナトリウムなど)に由来しコンクリートに着した塩分が、コンクリート内部に浸透し鉄筋を腐食させてしまう塩害という劣化現象が生じます。
  • フライアッシュをコンクリートに混和すると、フライアッシュのポゾラン反応の進行に伴いコンクリート組織が緻密化するため、コンクリート内部へ塩分が浸透しにくくなり、塩害の発生を抑制できます。
  • 他にも、耐硫酸性や水密性など、耐久性に関連する性能が向上します。
耐塩害性向上効果を活かした有効利用例:塩害等への対策
  • 海に近い橋梁や凍結防止剤が使用される橋梁など、塩害環境下に建設するコンクリート構造物において、耐塩害性の確保を目的としフライアッシュコンクリートを施工した実績が多くあります。
表 フライアッシュを使用したコンクリートの配合例(海に接する岸壁スラブ)
設計基準強度
(N/mm2
スランプ
(cm)
空気量
(%)
水結合材比
(%)
24 8 4.0 45
単位量(kg/m3
セメント フライアッシュ 細骨材 粗骨材 減水剤
(g/m3
AE剤
(g/m3
166 258 111 741 1004 922 -

(出典:コンクリートライブラリー132 循環型社会に適合したフライアッシュコンクリートの最新利用技術公益社団法人土木学会)

凍結防止剤による塩害

凍結防止剤による塩害

【特長⑤:アルカリシリカ反応(ASR)の抑制】
  • アルカリシリカ反応(ASR)とは、コンクリートに含まれるアルカリ性の水溶液が骨材中のシリカ鉱物や非晶質シリカと反応してアルカリシリカゲルが生成し、次いでアルカリシリカゲルが吸水し、膨張やそれに伴うひび割れを引き起こしてしまう劣化現象です。
  • フライアッシュをコンクリートに混和すると、ASR発生の原因となるアルカリシリカゲルが生成しにくくなるなどの効果によって、ASRの発生を抑制できます。
ASR抑制効果を活かした有効利用例:ASR発生対策
  • 北陸地方では、過去に建設した北陸自動車道やのと里山海道等でASRに起因する劣化が発生していたことから、現在はASR発生抑制を目的としたフライアッシュコンクリートの利用量増大に向けた取り組みが実施されています(金沢大学SIP(戦略的イノベーション創造プログラム))。

方向性のない亀甲状のひび割れが発生
方向性のない亀甲状のひび割れが発生

ASRが発生したRC橋脚での打替えの実施
ASRが発生したRC橋脚での打替えの実施
(神通川, 富山市内)

(ご提供:金沢大学 鳥居教授)

【特長⑥:リバウンドの低減】
  • リバウンドとは、吹付けコンクリート施工時に、壁面に付着せずに反発して落ちてしまうコンクリート分のことです。
  • フライアッシュを混和することで吹付け時のリバウンドが低減できることが分かっており、これにより使用材料の節約や、粉じん量低減による作業環境の向上が可能となります。
リバウンド低減効果を活かした有効利用例:吹付けコンクリート
  • 吹付けコンクリートとは、圧縮空気でコンクリート(モルタル)を施工面に吹付ける特殊コンクリートで、ショットクリートなどとも呼ばれます。
  • フライアッシュコンクリートは、吹付けコンクリートとして多くの利用実績を有しています。

吹付けコンクリート状況
吹付けコンクリート状況

表 フライアッシュを使用したコンクリートの配合例(トンネル内吹付け(NATM))
設計基準強度
(N/mm2
スランプ
(cm)
空気量
(%)
水結合材比
(%)
18 8.0 2.0 51.6
単位量(kg/m3
セメント フライアッシュ 細骨材 粗骨材 減水剤
(g/m3
AE剤
(g/m3
213 270 143 985 724 - -

(出典:コンクリートライブラリー132
循環型社会に適合したフライアッシュコンクリートの最新利用技術
公益社団法人土木学会)


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