Q8:石炭灰利用の障壁は?

安価で安定した電力供給を支える石炭火力の役割は、益々重要なものとなっています。政府の長期エネルギー需給見通しにおいても、2030年の電源ミックスとして発電量の1/4程度を石炭が担うことが期待されています。こうした背景から、石炭灰の発生量は、今後も一定規模で推移するものと想定されます。
一方で、セメントの生産量は増加しないものと見込まれることから、石炭灰のセメント原料(粘土代替)利用以外の利用拡大が期待されています。

石炭灰の利用拡大には、大別して ①技術的な要因、②経済的な要因、③制度面や法規制に係わる要因からの障壁が考えられます。

①技術的な要因には、炭種や燃焼条件によって品質のばらつきが大きいこと(確実な品質管理技術を確立すること)や、石炭灰に含まれる微量の重金属等の有害物質による環境負荷(負荷低減を図り環境安全性を確保すること)などが挙げられます。
②経済的な要因としては、供給網の整備や物流コスト(物流コストの低価格化による供給安定性を確保)や、競合する材料との経済性などが挙げられます。
③制度面や法規制に係わる要因では、産業廃棄物である石炭灰をリサイクル資材として活用するためのリサイクル事業の許認可手続きや、利活用用途における製品・品質規格やガイドラインの整備などが挙げられます。